正しい姿勢とは?

正しい姿勢と言われた時に大抵背筋を伸ばして肩甲骨を引き寄せて胸を張ってしまうと思いますが、それは本当に正しい姿勢なのでしょうか?
理学的に通常な姿勢というのは身体の支えている筋肉が前後左右均一に緊張しバランスがいい状態で、解剖学的には耳・肩口・股関節・膝関節が垂直線上に並ぶ状態です。
ですので、正しい姿勢になろうと背中の筋肉に力を入れている状態や胸を張っている状態だと理学的・解剖学的にも通常の状態から逸脱しているという事になり、関節や筋肉の位置関係が崩れてしまった場合それに応じて大きな負担がかかることになります。

ですので、姿勢が崩れていくと余計な負担が掛かりそれにより骨の軋みや軟骨のすり減り、神経の圧迫などの原因にもなりえます。そんな辛い症状や不調の原因にもなりえる姿勢ですが、正しい姿勢=真直ぐ というわけではなく本来は前後にS字状に湾曲しています。
そんな状態の姿勢を意図して真直ぐにしてしまうと湾曲することで前後に逃がしていた重力の負荷が逃げないで体に圧し掛かってしまい、前後の筋肉の緊張がアンバランスになり一方側への負担が大きくなります。
今の自分の姿勢の状態を把握していないと症状の悪化や他の症状を誘発させる原因になりえるので今の自分の姿勢と症状を理解することが大切です。

姿勢を理学的に分類すると理想の姿勢を基準として4つのパターン分けられます。

1つが、過前弯姿勢で無理に姿勢をよくしよう姿勢を正した際になる姿勢で、起立筋や背部の筋や肩回りの筋に力が入っている状態です。肩こりや坐骨神経痛になりやすいタイプです。

次に、後弯-前弯姿勢で加齢による腰の曲がりで腹筋や腹圧が低下するとなりやすい姿勢で、重心が前になりつま先に荷重がかかりやすく膝の負担が増え背骨の湾曲がきつくなり湾曲の節首や腰の圧が高い状態です。変形性膝関節症や圧迫骨折、脊柱管狭窄症や頚椎症になりやすいです。

3つめが後弯-平背姿勢でいわゆる猫背の姿勢、頭が前に突っ込んでいるような姿勢で頚椎症や胸椎の圧迫骨折、腰部・臀部や股関節の負担が大きくなりやすく、内臓への負担もかかりやすく便秘や頻尿の原因にもなりやすいです。

最後が平背姿勢、背骨の湾曲が無く一見いい姿勢に見えるかもしれませんが体の負担が大きく重い症状をもっている場合が多く腰椎と骨盤の負担が大きくなりやすい状態です。頸椎症や椎間板ヘルニアになりやすいです。

この4つの姿勢は前後の歪みの姿勢ですが、この他にも左右に歪む側彎やねじれの歪みがありまたこれらが複合して起こっている場合があり片側の負担が大きいと現れやすいものです。

人は身体を起き上がらせて生活していることがほとんどで、常に重力に拮抗し身体を支えており、そこにデスクワークやスマホの長時間の使用や運動不足などで姿勢は崩れがちになりやすくなります。
症状こそ現れていないと気にする必要や心配はありませんが、周りが気づくほどの状態だと後々症状があらわれてくる可能性が高いので早めに対処してみましょう。